
プチ整形とは異なるボトックスのもうひとつの新しい治療として、多汗症とわきがの治療があります。まず、ボトックスで行う多汗症の治療について説明します。
多汗症とはその名の通り汗をたくさんかく病気です。多汗症はワキ、手のひら、足の裏など、人によって症状が強くでる場所が異なります。
例えば、手のひらに大量の汗をかく手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)では、写真のようにポタポタと滴るほどに汗が出ます。学生さんだとテストの解答用紙がボタボタに濡れるほどの汗が流れ、本人の苦痛はたいへん大きなものです。体質的なもの以外に精神面での要因も大きく、人それぞれ治療方法が変わる厄介な病気です。
多汗症を治療するにはボトックス製剤を汗を止めたい患部の皮下に注射します。すると、ボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)は汗腺の神経に直接作用し、発汗を促進させているアセチルコリンという神経伝達物質を抑制して発汗量を低減させるのです。
ボトックス注射は多汗症の中でも特に精神性発汗型の多汗症に効果があるとされています。ボトックス注射を受けた人の7〜8割の人に効果が見られるほど、ボトックス注射は多汗症の治療に対し有効です。
ただし、ボトックス注射は多汗症の根本的な治療ではありません。半年くらいは効果が持続しますが、それ以降は多汗症が再発し始めます。稀に再発しないケースもあるようです。そこで、ボトックス注射を定期的に繰り返し受けることが必要になります。治療前にはこれらのことを認識し、承諾しましょう。
従来、多汗症治療では入院や手術後の傷跡が残るなどの心配がありました。しかし、ボトックス治療では脇の下や手のひら、足裏など多汗症が気になる部分に数箇所注射をするだけなので、治療時間は約15〜30分程度です。
傷跡も残らずに治療を受けた当日からお風呂にも入れます。
夏になる前に治療をすれば夏の暑い時期を快適に過ごすことができますので、5月、6月頃に注射するのがよいでしょう。
副作用や後遺症はないのでしょうか?
これまで症例として報告されているのは、吐き気、倦怠感、頭痛、発熱などの発生です。1日で改善されます。
ボトックスには筋肉を弛緩させる治療であるため、元々、筋力が弱い方にもおすすめできません。子供、神経や筋肉に疾患がある人、過去にボトックスでアレルギーが生じた人などがあげられます。妊娠中あるいは授乳中の方も受けられません。母親に対する安全性の研究が十分に行われていないためです。