
眼瞼痙攣(がんけんけいれん)とは、両方のまぶたの筋肉が攣縮(れんしゅく)を起こし、まぶたが開けにくい症状をいいます。右の写真はそんな症状が出た患者さんです。痙攣という呼び方がついていますが、症状には必ずしも痙攣をともなうわけではありません。
ボトックスは元々はこの眼瞼痙攣に用いられた有効な治療法で、すでに多くの臨床例があります。
眼瞼痙攣とは不随意運動(自分の意思とは関係なく現れる異常運動)であるジストニア(中枢神経系の障害による不随意で持続的な筋収縮にかかわる運動障害)の一種です。
まぶしい、目が乾く、目を開けていられない、目の周囲がピクピク動くといった症状が現れます。左右両方に発症し、症状は進行します。重症になると、完全に目が開けられない状態にまでなるため、視力があるのに盲目と等しくなることがあります。
発症の原因はいまだに解明されていないため、根治療法はできず、対症療法が中心となっています。多くの報告で、大脳基底核の異常が指摘されています。
治療はごく微量(ボトックス製剤とボツリヌス菌の致死量を参照のこと)のボツリヌストキシン(ボツリヌス毒素)を眼瞼部・眼窩部の数カ所に注射します。
日本でも保険適応が認められていますが、内服薬などに比べ費用が高いです。米国を初め、いくつかの国のガイドラインでは、眼瞼痙攣治療の第一選択とされ、改善率は90%前後というデータがあります。効果は3〜4カ月です。稀に注射直後、薬が効きすぎて瞼が閉じにくくなることがありますが、一時的なものです。
ボツリヌス療法により痙攣が改善されるのは、ボツリヌス毒素が筋肉を麻痺させ、痙攣を止めてしまうのです。もちろん、眼瞼痙攣の原因そのものが取り除かれるわけではありませんし、効果は一時的なもので、一定の期間をおいて注射を継続しなければなりません。